「SNSを頑張っているのに売上につながらない」
「フォロワーは増えるのにお客様が増えない」
「結局SNSって必要なの?」
こうした声は、農業の現場で本当に多く聞かれます。
結論から言えば──
SNSは“売るためのツール”ではなく、“選ばれるための武器”です。
そして農業ほど、SNSの効果が出やすい業種はありません。
私は就農1年目から「Instagramと公式サイト」、そして“伝え方の設計”を組み合わせることで一般的な新規就農者の平均売上を大きく上回る結果を得ました。
この記事では、農家でも必ず実践できる「SNS × 伝え方 × 導線」の全てを解説します。
なぜ農業にSNSが必要なのか?|最大の理由は“可視化”にある
SNSをやる目的は集客ではありません。
もっと本質的な理由があります。
① 農業の価値は“目に見えにくい”から
農業は職人仕事ですが、圃場の中での努力やこだわりはお客様には見えません。
- どんな想いで育てているのか
- どれだけ手間がかかっているのか
- 品質の裏にどんな工夫があるのか
- 天候とどう向き合っているのか
これらが“不可視の価値”であり、SNSはこれを“可視化”してくれる唯一のツールです。
② ストーリーが選ばれる時代だから
同じナガノパープルでも、どの農家から買うかで価値は変わります。
あなたの背景、想い、行動、誠実さは、SNSだからこそ伝えることができます。
そして、その内容に共感し、お客様があなたの“ファン”になってくれることで継続的な売り上げやブランディングが構築されていくのです。
③ 発信が「信頼」になる
農業の発信は
- 嘘がつけない
- 加工に限界がある
- 素直な人柄が滲み出る
だからこそ、信頼されやすいのです。
笑顔だけど猛暑で汗がダラダラであったり、Tシャツに土が付いていようとも、だからこそ伝わる身近な温度感があるというもの。
そんな発信ができる「農業 × SNS」は、本来最強の組み合わせです。
SNSで売れない最大の理由は“導線がない”から
ほぼすべての農家がやりがちな勘違いがあります。
それは──SNS単体で売ろうとしてしまうこと。
SNSは導線の“入口”にすぎません。
- SNS → 興味を持つ
- 公式サイトの記事 → 深く知る
- 公式LINE → 信頼関係を築く
- 販売 → 自然に買われる
- SNS=入口
- LINE=信頼
- EC=販売
このように役割が違うのです。
農家が作る“売れる投稿”の5つの要素
SNSは才能ではありません。
“構造”です。
ここでは農家に最適化した“売れる投稿の型”を公開します。
① 1枚目の写真(世界観)
SNSの勝負は、投稿を開く前の0.1秒。
農業の写真は、ほんの少し工夫するだけで伝わる世界観が劇的に変わります。
良い写真の条件
- 朝 or 夕方の柔らかい光
- 主役を近距離で撮る
- 背景がシンプル
- 人の手が写る(信用が高まる)
- 「誠実」「丁寧」が伝わる構図
この他に、根菜類であれば土が付いていることで収穫したての新鮮さを表現できますし、葉物であれば霧吹きで水分を演出してあげればみずみずしさを伝えることができます。
② 冒頭2行に“読者の興味”を入れる
SNSは“本文ではなく冒頭の2行”が命。
例:
就農1年目の私は「売れない理由」を勘違いしていました。
本当は技術不足ではなく、〇〇が足りなかったんです。
読者は“自分に関係あるか?”で読み続きを決めます。
「今、自分はこれをやってます、頑張ってます」という自分が発信することに精一杯になってしまっている投稿を見かけますが、それでは相手の心に響かせることはできません。
SNSに限らず、情報発信は「いかに相手にとって有益か」を追求する考え方が大切です。
③ 物語を書く(ストーリー要素)
農業の投稿には物語があります。
- 苦労した日
- 喜んだ瞬間
- 雨の日の不安
- 収穫の喜び
- お客様の言葉
SNSでは技術よりも“物語”が反応されます。
また、人間の脳は「ストーリー」に強く反応するようにできているため、1つのシーズンを通して「点と点を結ぶ」設計を心がけていきましょう。
④ 学びを入れる(教育要素)
「へえ、知らなかった」と思える投稿は保存されます。
例:ぶどうで言えば・・・
- ナガノパープルの房づくりの裏側
- 摘粒の理由
- ぶどうの糖度の仕組み
- 直販と市場の違い
日常的に手に取る農作物の生産者しか知らないような裏側を発信することで、あなたに興味を持ってもらえるようになります。
⑤ 行動を促す(CTA)
ここでは、販売ではなく「次の行動」を促します。
- プロフィールへ
- サイトへ
- 記事へ
- LINEへ
これだけでSNSが“売れる導線”の入口になります。
言い換えれば、ここまでやらなければSNSはただの自己満足に陥る可能性が非常に高いのが現実です。
農家に最適なSNSはInstagram|理由は3つ
① 写真で“新鮮さ・美しさ”が伝わる
農業と写真の相性は最高。
投稿におけるタイムリーな要素が大きいでしょう。
② 保存・共有されやすい
農産物のストーリーは保存されやすい。
保存=信頼=購入に直結。
③ ストーリーズで距離が縮まる
農家のストーリーズは本当に強いと考えています。
- 手の動き
- 農作物の状態(色・艶)
- 畑の空気
- その日の気候
全てが“価値”になります。
SNSだけでは不十分 | 必要なのは“導線化”
SNSは入口であり、ここからが本質です。
農家が売れる導線はこれです。
SNS(共感)→記事(理解)→LINE(信頼)→販売(自然に買われる)
つまり、「SNS→記事→LINE」の流れが作れれば、販売ページを覗いた時点でお客様はあなたのファンになっているため、黙っていても売れていくのです。
農家が絶対にやるべき“導線設計”の全体マップ
ここからが、この記事の核心です。
① 公式サイトに“ストック型記事”を入れる
SNSは流れていってしまう。
記事は溜まっていく。
農業は“蓄積”を武器に戦っていきます。
SEO対策を講じた記事の書き方などについては、別のページで紹介していきます。
② 記事末尾にLINE導線を設置
SNSで出会い → 記事で理解し → LINEで信頼される流れを作る。
例:より新鮮な収穫状況やお得な情報については、LINEで発信しています。
③ LINEステップで信頼を育てる
LINEステップは“自動で信頼を積み重ねる装置”です。
- あなた自身の物語
- あなたの農作物の魅力
- 栽培のこだわり
- 直販の魅力
この流れがファン化となり、「この人から買いたい」という気持ちが生まれます。
④ SEOとSNSを“結婚”させる
SNS=拡散 SEO=蓄積
この2つを組み合わせると爆発します。
SNS → 記事へ誘導
記事 → LINEへ誘導
LINE → 再びSNSへ誘導
のように循環型の導線になります。
実例:私はSNSと導線で1年目から成果を出しました
ここで私のケースをお話させてください。
① SNSで“誠実さ”を伝えた
消防士 → 農家という背景をストーリーのメインとし、「誠実さ」、「丁寧な栽培」、「ひたむきな努力」が伝わるような世界観にこだわっています。
② 公式サイト(母艦)とSNSが連動
Instagram → 記事 → LINEへ自然につながる導線を構築。
③ SNS単体で戦わなくて済むようになった
SNSは“認知”合戦であり、バズったとしても水物的な要素が非常に強い。
また、流行り廃りによってプラットフォームが変わってしまう可能性も十分にあります。
それに対し、公式サイトは何にも左右されない母艦であり、ファン化戦略の大きな肝となっています。
ここに公式LINEを加えることで、大手ECサイトだけではなく、より利益率が高い自社サイトにお客様を呼び込むことができるのです。
農家が今すぐ実践できるSNSタスク一覧(保存推奨)
すべて“今日からできる”内容です。
「また同じような投稿をしているな・・・」とマンネリになってしまいがちですが、フォローする側からしてみれば基本的にはその他大勢の1人であるため、毎日あなたの投稿を見ているかも分からないので、そこまで気に留める必要はありません。
① 週1~3投稿(構成テンプレ)
メインのシーズンに向けて盛り上がっていくような投稿回数、内容にしていきます。
オフシーズンであれば月に1回程度でも全然構いません。
- 写真(1枚目は世界観)
- 冒頭2行で興味付け
- 物語
- 学び
- CTA(プロフィールへ)
② 毎日ストーリーズ
- 畑の様子
- 気候
- 気持ち
- 作業の手元
③ ハイライト整理
- 農園紹介
- 品種
- 発送
- こだわり
- 自己紹介
④ プロフィール文
“あなたから買う理由”が伝わるように。
熱意がこもって情報を詰め込みすぎないようにし、箇条書きで「推しポイントを3つに絞る」といいでしょう。
⑤ 記事のURLをプロフィールに固定
SNS → 記事 → LINEの導線を作る。
まとめ:農家のSNSは“売り込み”ではなく“選ばれる準備”
本質はこれです。
農家は売り込まなくてもいい。
売り込む必要もない。
やるべきは、「選ばれる理由」を積み上げること。
SNS → 共感をつくる
記事 → 理解をつくる
LINE → 信頼をつくる
この3つの役割分担ができたら、就農1年目でも利益は確実に伸びていきます。
