長野県は日本のぶどう栽培に関して、生産量が多く重要な位置を占める地域です。 標高の高い土地や日較差の大きい気候条件がぶどうの栽培に最適であり、高品質なぶどうの生産地として知られています。
この記事では、長野県のぶどう栽培に焦点をあて、その魅力や特徴、栽培されている品種などについて詳しく解説していきます。
長野県の自然環境とぶどう栽培
長野県は、日本のぶどう栽培において非常に重要な産地であり、特にその独自の自然環境が高品質なぶどうの生産を支えています。それらの自然環境がぶどう栽培にどのような影響を与えているのか詳しく解説していきます。
豊かな自然環境
3,000m級の山々
長野県は日本の内陸部に位置し標高3,000m級の高い山々に囲まれており、県の中央には日本アルプスが広がり、豊かな自然が残されています。そして、山々から絶え間なく流れ出る清流があらゆる生命を育んでいます。
ぶどうの栽培が行われるエリアは標高500~800メートルの高地であり、この標高の高さがぶどうの品質に良い影響を与えています。(ぶどう園さんすけの圃場も標高750mから800mの場所にあります。)
標高が高いほど昼間は暖かく、夜間は気温が低くなる日較差が大きくなり、この気温差によって糖度の高いぶどうを作ることができます。
日照時間の長さ
長野県の中でもぶどう園さんすけがある松本市は、年間の晴天率が全国トップクラスであり、日照時間が長いことも特徴の一つ。ぶどうは日光をたっぷり浴びることで糖度が上がり、香り豊かな果実に育つため、高品質なぶどう栽培にとって理想的な条件となっています。
昼夜の気温差が育む甘さと酸味のバランス
長野県の自然環境で特に重要なポイントは、昼夜の気温差である日較差です。
昼間は暖かく太陽の光をたっぷりと浴びることで光合成を行い、夜は気温が下がる冷涼な環境で育つことによって、高い糖度と酸味が絶妙に調和したぶどうが育ちます。
水はけの良い土壌
長野県は盆地が多く、扇状地による緩やかな斜面によって水はけが良い土壌に恵まれています。
ぶどう栽培には水はけが良い土壌が不可欠のため、扇状地に恵まれた長野県はぶどう栽培に適した地域が多くなっています。
長野県の気候とぶどう栽培の多様性
長野県は、北から南に長く伸びる地形をしており、地域ごとに異なる気候があります。
それによって様々な品種のぶどうが栽培されていますが、特に長野県内では生食用とワイン用の両方のぶどうがバランス良く栽培されています。
環境保全型農業の取り組み
長野県はその自然環境を守るため、環境保全型農業にも力を入れています。ぶどう栽培では、減農薬や無農薬の栽培方法を取り入れている農家も増えており、土壌や生態系を守りながら高品質なぶどうの生産に取り組んでいます。
長野県で栽培されている代表的なぶどう
次に、長野県で栽培されている代表的なぶどうについて解説していきます。
ナガノパープル
長野県独自の品種として開発されたナガノパープルは、ひと口食べるとまず感じるのは濃厚な甘さと巨峰のような芳醇な香り。
今となっては、「大粒・皮ごと・種無し」がぶどうの「当たり前」になってしまいましたが、ナガノパープルもその例に漏れず多くの人に親しまれる非常に食べやすいぶどうです。
冷やして食べると甘さと香りがよりクリアになり、暑さで疲れた心と身体にフレッシュなエネルギーを補給してくれます。
クイーンルージュ
今、長野県が最も力を入れているのが長野県オリジナル品種であるクイーンルージュ。
まだ広く認知されていませんが、一度食べた人はシャインマスカットよりもクイーンルージュを選ぶ人が圧倒的に多いのがその魅力です。
シャインマスカットを食べたことがある人はたくさんいると思いますので、分かりやすくシャインマスカットと比較すると、次のようになります。
・クイーンルージュの方が糖度が高く甘い
・シャインマスカットの皮はパリッとしていて抵抗がある人もいますが、クイーンルージュの皮は薄いためほとんど違和感なく食べることができる
・シャインマスカットのような食べた後の青臭さがなく、さくらんぼに似た上品な香りが漂う
生産者としては、皮が薄いことによって裂果しやすいことやしっかりと赤く色づけなければならないなどの技術的な難しさはありますが、品種としてのポテンシャルは圧倒的に美味しいぶどうのため、ぜひたくさんの方に味わって欲しいぶどうです。
シャインマスカット
現代のこどもたちにとっては、ぶどう=シャインマスカットと認識しているのでは?というほど大粒ぶどうを世に広めた人気ぶどう。
しかし、現在ではその栽培のしやすさから家庭菜園でも栽培されるほどで、流通量が圧倒的に増えたことによって供給過多になり価格が崩れたり、市場全体として品質に大きな差が生まれているのも現実です。
ただ、品種としての魅力は変わらないため、これからもぶどう市場をしっかりと支えていくでしょう。
品種の説明をするまでもないかもしれませんが、何よりの魅力はパクパクと食べ続けることができるスッキリとした甘さと食感。
当園でも流通量に埋もれない高品質なシャインマスカットの栽培に取り組んでいきます。
巨峰
一時はシャインマスカットの人気に埋もれてしまった古株の品種ですが、シャインマスカット人気も落ち着いてきたことで今その魅力に注目が集まっています。
皮ごと食べられることが当たり前になってしまったことで、皮を剥かなければならない巨峰が選ばれにくいことは確かにありますが、その芳醇な香りと食味の良い果肉は現代の大粒ぶどうたちと比べても全く引けをとりません。
むしろ通な方達にとっては、「種あり巨峰」が最も美味しい大粒ぶどうというのが定説となっています。
ピオーネ
巨峰を親に持つピオーネは、その芳醇な香りの特徴をより強めた上にワインのようなフルーティな香りが特徴です。
さらに、大きく肥大する粒によって構成される圧倒的に豪華なビジュアルは、贈り物として喜ばれる絶対的な価値を持っています。
デラウェア
昭和世代の方にとっては、ぶどう=デラウェアなのではないでしょうか。
今や大粒ぶどうの影に隠れてしまっていますが、懐かしいその味わいは変わりません。
そして、食べ物をうまく飲み込めないお年寄りの方などに選ばれる優しいぶどうとして、その役割をになっています。
長野県産ワインのためのぶどう
長野県内には多くのワイナリーが点在しており、その多くが観光施設としても開放されており、ワインテイスティングやぶどう畑の見学など、長野県産ぶどうを使ったワインは多くの観光客を惹きつけています。
また、地域ごとの多様性を活かしたユニークなワイン作りが行われており、国内のワインコンクールでも多くの賞を受賞している長野県のワインは、その豊かな風味と個性でワイン愛好家たちにも人気があります。
観光とぶどう狩りの魅力
長野県には、美しい自然環境に恵まれた観光農園がたくさんあります。
秋になると多くの観光客がぶどう狩りを楽しみに訪れるぶどう狩りは、収穫の喜びだけでなく、新鮮なぶどうをその場で味わうことができるため、家族連れやカップルに人気のアクティビティです。
また観光農園では、ぶどうだけでなく様々な果物狩りを体験できるため、季節ごとに違った楽しみ方を味わうことができるのも大きな魅力です。
長野県のぶどうを使った特産品
長野県では、ぶどうを使ったさまざまな加工品も販売されており、ぶどうジュースやジャムを中心にお土産としても人気です。
また最近では、シャインマスカットやナガノパープルを使ったスイーツも多くの人を魅了しています。
まとめ
長野県は、その豊かな自然環境と優れた栽培技術によって高品質で魅力的なぶどう栽培を行っています。
生食用からワイン用まで様々な品種が栽培されており、特にナガノパープルやシャインマスカットなど全国的に人気の品種も多くあり、さらにぶどう三姉妹としてクイーンルージュもこれから注目が集まっていくでしょう。
また、観光農園でのぶどう狩りやぶどうを使った特産品も豊富で、長野県のぶどうは観光資源としても大きな役割を担っています。
長野県の自然が育んだぶどうの魅力を、ぜひ一度現地で体験してみてはいかがでしょうか。