秋の味覚の一つである「ぶどう」。 その多彩な風味と豊かな栄養価から、子供から大人まで幅広く愛されています。ここでは、特に美味しいぶどうの種類(名前)、見分け方、そして最高の食べ方を詳しくお話していきます。これをば読め、ぶどうをさらに美味しく味わうことができるでしょう。
1.美味しいぶどうの種類(名前)
では、美味しいぶどうと言えば名前が挙がるぶどうの種類について説明してます。
ナガノパープル
ナガノパープルは、巨峰とリザマートを交配して生まれた長野県で開発された黒系の高級大粒ぶどうです。
種無しで皮ごと食べられることは今となっては一般的な大粒ぶどうですが、ナガノパープルが他のぶどうと比べて大きく特徴となる点は、レスベラトロールという抗酸化物質を多く含んでいること。
このレスベラトロールはポリフェノールの一種で、特にブドウの皮や赤ワイン、ピーナッツ、ベリー類などに含まれる天然化合物で、強力な抗酸化作用や抗炎症作用があるとされ、健康効果が期待されています。
以下は、レスベラトロールの代表的な効果です。
抗酸化作用
レスベラトロールは、細胞の酸化ストレスを軽減することで、細胞のダメージを防ぐのに役立ちます。これにより、老化の遅延や、がんの予防に集中する可能性があると考えられています。
抗炎症作用
レスベラトロールは炎症を抑える作用があるとされ、慢性疾患や代謝疾患、特に心血管系の予防に効果があるとされています。
心血管の健康
レスベラトロールは、血液の流れを改善し血管の健康を維持する作用があるとされています。これにより、動脈硬化や高血圧などのリスクを軽減する効果があります。
その他
上記の他には、抗がん作用、脳の健康、糖代謝の改善などにも効果があるとされ、今でも様々な研究が行われています。
クイーンルージュ
クイーンルージュは、2021年に長野県果樹試験場でシャインマスカットとユニコーンを交配して生まれた赤系の大粒ぶどう。
クイーンルージュは、その名前のとおりルージュ(赤色)の果皮が特徴。美しい外観が目を引き、見た目の豪華さから贈答用にも人気が高い品種です。
その味わいも、さくらんぼのような香りとマスカット香を感じることができ、シャインマスカットに慣れてしまった方達を中心に新たにファンとなる人が続出しています。
シャインマスカット
もはや説明不要のぶどうで、現代の子供達にとってはぶどう=シャインマスカットとなっているでしょう。
シャインマスカットで多くの人に知られていない事実として、実は粒の色は緑よりも黄色がかった方が甘くて皮も薄く美味しいということ。
一度その味を知ってしまうと、緑色のシャインマスカットは口の中に皮残りがあり、若干青臭さもあると感じ流ようになってしまうでしょう。
鮮やかな緑色も綺麗で魅力的ですが、ぜひ黄色がかったシャインマスカットも味わってみてください。
ピオーネ
ピオーネは、実は非常に人気の高い大粒の黒系ぶどうで、巨峰とカノンホールマスカットを交配して生まれた品種です。
ピオーネ最大の魅力は、何といってもその外観の圧倒的な美しさでしょう。
しっかりと膨らんだ大きい粒で構成された房型は、贈り物としても喜ばれます。
食味は巨峰っぽさを残しつつも、まるでワインやブランデーのような上品な香りを味わうことができるため、洋酒が好きな方々にも人気があるぶどうです。
巨峰
巨峰は、今となっても根強く支持されている黒系の大粒ぶどう。
一時は、シャインマスカットの勢いによって完全に表舞台から姿を消した雰囲気がありましたが、シャインマスカットが供給過多となり人気もひと段落した最近では、市場関係者からもそのニーズが高まっています。
皮ごと食べられないことがネガティブに感じられがちですが、実は皮と実の間に旨みが詰まっていますので、その美味しさをぜひ味わってみてください。
サニールージュ
サニールージュは、ピオーネとレッドパールを交配して生まれた赤系ぶどう。
糖度も平均20度以上と高く、すっきりとした甘さが人気の理由となっています。
皮ごと食べることはできませんが、実との皮離れも非常に良いためストレスなく食べることができます。
藤稔
藤稔は、井川682とピオーネを交配して生まれた黒系の大粒ぶどうで、品種登録は1985年と歴史ある品種です。
藤稔の最大の特徴は、巨峰よりもさらに大きい粒のサイズで1粒の重さが20gを超え、大きいものだと30gになることもあり、ぶどうの中でも非常に大きな部類に入ります。そのジューシーな果肉は食べ応えが抜群で満足感を得ることができます。
皮は厚めのため剥いて食べるのが一般的ですが、巨峰のように簡単に皮を剥くことができるため、しっかりとした果肉を味わうことができます。
ブラックビート
ブラックビートは、2004年に藤稔とピオーネを交配して品種登録された黒系ぶどう。
巨峰や藤稔に似た非常に大きな粒を持つぶどうで食べごたえがあるため、一粒でも十分な満足感を得ることができ、贈答用としても非常に人気が高い品種です。
そして、高い糖度に程よい酸味があり、そのバランスの取れた味わいも特徴の1つです。
皮ごと食べられるのですが渋みも少ないため、さっぱりとした味わいを楽しむことができます。
ブラックキング(甲斐キング)
ブラックキングは、ピオーネと山梨46号を交配して生まれた品種でその名前は「甲斐ベリー3」から「ブラックキング」となり、今は「甲斐キング」として商標登録されています。
ブラックキング(甲斐キング)は、その粒の大きさが魅力でナガノパープルや巨峰、ピオーネなど人気の黒系ぶどうと同様に、一粒が大きく果肉がしっかりしているため食べ応えがあり、見た目も非常に豪華なぶどうです。
クイーンセブン
クイーンセブンは、世界的にも有名なぶどう研究の第一人者である志村晃生さんが率いる志村葡萄研究所が開発したシャインマスカットとマニキュアフィンガーを交配して生まれた赤系の品種。
種無しで皮ごと食べられることに加えて、その最大の特徴は数ある果物の中でもトップクラスの25度を超える糖度で、最大で27度に達する房もあるといいます。
クイーンニーナ
クイーンニーナは、安芸津20号と安芸クイーンを交配させて生まれた大粒の赤系ぶどう。
種無しで皮ごと食べられ、その最大の特徴はしっかりと食べ応えのある食味でしょう。
通常ぶどうはプニプ二していますが、クイーンニーナはガッシリとしていて食感もブドウよりは桃などに近く、その独特の食感と風味にハマってしまう人も多いぶどうです。
しかし、綺麗な赤色に着色させることが非常に難しく流通量が少ないため、なかなかお目にかかることができない珍しい品種とも言えます。
富士の輝
富士の輝は、前述の志村葡萄研究所が開発したシャインマスカットとウィンクを交配して生まれたブラックシャインマスカットとも言われる黒系の大粒ぶどう。
種無しで皮ごと食べることができ、シャインマスカットよりも濃厚な味わいと巨峰のような香りの強さが魅力です。
この富士の輝(ブラックシャインマスカット)に限らず、一時代を築いたシャインマスカットを親とした新たなぶどう開発によって、次世代のスターが誕生する日も近いのかもしれません。
2. 新鮮で美味しいぶどうの見分け方
色とツヤに注目
新鮮で美味しいぶどうを選ぶ際に最も重要なのは、着色とツヤです。
皮の色が均一で、鮮やかな赤色をしているものが成熟しており、色が濃いほど甘味も強い傾向にあります。
着色は粒の先端から根元に向かって進んでいくため、選ぶ際は粒の根元までしっかりと着色しているかを見るようにしましょう。
また、表面がツヤツヤしているぶどうは一見美味しそうに見えますが、ぶどうから出るミネラル成分であるブルームが落ちてしまっているため、皮の表面に白い粉のようなものがついている房を選びましょう。
粒の大きさと張りをチェック
粒が大きく、均等に並んでいるぶどうは、しっかりと栄養が行き渡って育った証拠です。また、粒の表面にしっかりとした張りがあり、指で軽く押しても弾力を感じるものは新鮮です。
それとは逆に、粒がしぼんでいたり、表面にシワが見られるものは、鮮度が落ちている可能性があります。
また、一粒一粒が小さく全体の粒数が多いぶどうは、熟していても糖度がしっかりと上がらない傾向があるため避けた方がいいでしょう。
軸の部分も見逃さない
意外と見落としがちですが、ぶどうを選ぶ際は軸の部分もチェックしましょう。軸がしっかりと緑色で水々しいものは、収穫されたばかりで新鮮です。
それに対し、軸が茶色く乾燥しているものは、収穫してから日数が経過し鮮度が落ちているため選ぶことは避けましょう。
3.美味しいぶどうの食べ方
そのまま食べる
自然の恵みであるぶどうは、なんだかんだ言ってもそのまま食べるのが一番のおすすめ。
口に入れた瞬間に広がる甘みと香りをしっかりと味わうためには、食べる時まで冷蔵庫で冷やしておき、常温に少し戻してから食べるとより一層美味しさが際立ちます。
ぶどうは基本的に温度が下がると糖度も下がってしまうため、冷蔵庫で冷えきった状態で食べると本来の糖度を味わうことができません。
少し常温に戻してから食べた方が美味しく味わえることを覚えておきましょう。
デザートやスイーツに活用
ぶどうは、デザートにもアレンジしやすいフルーツで、タルトやケーキのトッピングとして使うと、華やかで上品なスイーツに仕上がります。
また、ゼリーやコンポートにしても、甘みが生かされて美味しくいただけます。加熱しても味が崩れにくいので、幅広いスイーツに活用できます。
フルーツジュースやスムージー
ぶどうを使ったフレッシュジュースやスムージーは、栄養価が高く特に朝食や暑い日にはさっぱりと楽しめます。ぶどうが持つ甘みと酸味、フレッシュな風味が、他のフルーツや野菜とよく合い、健康的で美味しいドリンクに仕上がります。
4. まとめ
ぶどうは果物の中でも品種に圧倒的な種類があり、その魅力や特徴も千差万別です。
観光農園に足を運べば、スーパーなどではお目にかかれない珍しいぶどうに出会えることもあるでしょう。
あなたにピッタリのぶどうがこの世界のどこかで待っています。