※この記事は、農家・生産者向けの「ネット販売・EC化」に関する内容です。
「ブランド化って難しそう」
「小さい農家でもブランドを作れる?」
「ブランドって結局、何をすること?」
こうした疑問は、農業の現場で非常によく聞きます。
そして結論から言うと──
小規模農家こそブランド化に向いています。
大規模では伝わらない
・人柄
・背景
・世界観
・物語
これらは、小規模だからこそ強く打ち出せる価値です。
私は、新規就農1年目から“伝え方 × 導線設計 × 世界観” を武器に直販を伸ばし、一般的な新規就農者の平均を大きく超える売上を作ることができました。
本記事では、私の経験をもとにした小規模農家のためのブランド戦略を、本質から分かりやすく解説します。
ブランドとは「あなたから買う理由」のこと
まず最初に、誤解を解いておく必要があります。
ブランドとは
- ロゴ
- デザイン
- ネーミング
- パッケージ
これらではありません。
本質はただ一つ。
“なぜあなたから買うのか?”が明確になっている状態
これがブランドです。
小規模農家がブランド化しやすい理由
大規模農家より小規模農家の方がブランド化に向いている理由があります。
① 一人(家族)のストーリーが強烈な価値になる
農作物に限らず現代社会において、商品は「物語」で買われる時代です。
- なぜ農家になったのか
- どんな人生を歩んできたのか
- どんな想いで育てているのか
- どんな困難を乗り越えたのか
これは“大規模農家には出せない味”です。
私の場合は、
消防士から農業へ
命と向き合う仕事から、命(こども・ぶどう)を育てる仕事へ
このストーリーを「ブランドの核」として運営しています。
② 手仕事の丁寧さが伝わりやすい
小規模ほど
- 1房ずつの管理
- 気温・湿度の感知
- 樹勢管理
- 丁寧な摘粒
- 適正な収穫判断
がしやすい。
大規模では真似できない“丁寧な仕事”こそブランドの源泉としています。
③ 顧客との距離が近くリピート率が高い
直販は顧客との関係が命。
小規模農家ほど
- DM
- コメント返し
- LINE返信
- お礼メッセージ
- 個別対応
これらが自然な距離感で行えますし、ブランド価値そのものとなっていきます。
④ 世界観を揃えやすい
小規模だからこそ、発信・写真・段ボール・サイト・言葉の統一ができます。
当園を例に挙げると“温かみ・丁寧・愛情”の世界観を大切にしていますが、これは小規模だからこそ統一できると考えています。
ブランドの核心は「世界観 × ストーリー × 言葉」
ブランド化の本質は3つだけです。
① 世界観(視覚的な一貫性)
- 写真の色味
- 果樹園の雰囲気
- ホームページの色
- ロゴ
- パッケージ
- フォント
これが統一されているとお客様の記憶に残りやすくなります。
これを当園に当てはめると、
- こどもたちへの愛情とぶどうを重ねる
- “温かみのある”世界観
- 長野県の空気感
- 清潔で凛とした印象
- 青 × 白 × 黒などの冷たい色を極力使わない
を軸としています。
② ストーリー(背景・想い)
あなたの人生そのものがブランドです。
- 消防士時代の価値観
- 転身の決意
- 就農1年目の挑戦
- 土への向き合い方
- 品種への想い
- ぶどうに対する哲学
ストーリーは“あなたにしかない唯一の差別化”のポイントになるため、じっくりと考えてみてください。
③ 言葉(キャッチコピー・語り口)
ブランドは言葉で決まります。
例:
- 「愛情を込めたぶどうづくり」
- 「命を育てるように、一房ずつ」
- 「丁寧さは、味になる」
- 「目には見えない努力を、美味しさに変える」
あなたの1つ1つの言葉がブランドを作っていきます。
ブランドは“伝え方”で作られる|さんすけ流ブランドの3原則
農業ブランドは「広告」では作れません。
伝え方で作ります。
生産者の実務と合致するモデルがこちら。
① 原則1:価値を“見える化”する
生産者の努力はお客様には見えません。
- 摘粒
- 誘引
- 水管理
- 病害虫対策
- 天候リスク
- 収穫判断
当園の場合、これらすべてをSNSと記事で【見える化】しています。
見える化=ブランド化です。
② 原則2:一貫性(世界観)
ブランドは一貫性で覚えられます。
- 発信のトーン
- 写真の色
- 言葉の選び方
- パッケージ
- サイトのデザイン
ここが揃っている農家は少ないだけでなく、そもそも発信している人が圧倒的に少ないため“それだけで勝てる”世界です。
③ 原則3:導線(買う理由が自然に積み上がる道)
ブランドは、導線の上に成り立ちます。
例:
SNS → 共感と世界観
公式サイト → 理解とファン化
記事 → ストーリー
LINE → 信頼
販売 → 感動体験
当園は、この型を基本に運営しています。
小規模農家のブランドをつくる7ステップ
当園をモデルとして体系化して説明します。
STEP1:世界観を決める
まずは、核となるキーワードを3つで決めましょう。
例:
温かみ|丁寧|愛情
STEP2:ストーリーを明文化する
公式サイトのプロフィールに、あなたのストーリーを追加するだけでブランドが育ちます。
STEP3:写真の統一
- 光
- 色
- 構図
- 世界観
写真はブランドの“顔”となっていきます。
温度感を統一し、整然とした写真を並べていきましょう。
STEP4:サイト(母艦)の世界観を整える
世界観が統一されたサイトは“ブランドの本拠地”となります。
STEP5:記事で知識と背景を伝える
ブランドは情報量で育ちます。
あなたというブランドの“百科事典”を作るつもりで、最低でも10記事は入れましょう。
STEP6:LINEで信頼の積み上げ
ブランドの本質は「信頼の蓄積」。
あなたが配信するLINEステップは、ブランドのメインエンジンとなっていきます。
STEP7:販売で“体験価値”を届ける
ブランドは体験で完成します。
- 梱包
- お礼
- 文章
- 写真
- DM
すべてが体験価値となってお客様に伝わります。
ブランド化は“高単価化”ではなく“選ばれる理由づくり”
ブランド化 = 高級化と思われがちですが、それは違います。
ブランド化とは「この生産者から買いたい」という理由を積み上げる作業です。
高級路線も、親しみ路線も、どちらもブランド化できます。
あなたが展開したい市場でのターゲットを明確にしたブランド戦略を展開していきましょう。
小規模農家がブランドで勝つためのチェックリスト
- 写真が世界観と一致している
- 投稿の言葉に統一感がある
- サイトのトーンが揃っている
- LINEで信頼を積み上げている
- ストーリーを語っている
- お客様の声を紹介している
- パッケージが世界観と一致している
- 「誠」や「丁寧さ」が伝わる
- 販売ページが世界観を壊していない
- SNSとHPの世界観が一致している
これが揃うと、小規模農家はでも圧倒的に結果を出しやすくなります。
まとめ:小規模農家でもブランドは作れる。むしろ最強。
ブランドは、お金でも技術でも設備でもなく、“伝え方 × 世界観 × 導線 × 人柄” で作られます。
当園のケースも1つのモデル事例でしかなく、1つ1つの農園にあったブランド戦略を生み出すことが可能です。
この記事が、日本中の農家に勇気をお届けし、未来へのヒントになることを願っています。
